コラム 中村 晋

コラム1-10 リスク・マネジメントの方法

リスク・マネジメントは難しいニャン

 そうですね。本当はプロジェクトを進める上でとても重要なことなのですが、特に中小企業で実施しているケースはあまり多くはないですね。

それはどうしてだニャン?

 GGの質問に答える前に、「リスク」とは何か確認しておきましょう。リスクとは、発生するかどうかが不確かな出来事のことを言います。似た言葉として「課題」がありますが、課題はすでに起こったこと(顕在化していること)を指しますので、リスクとはわけて扱うことが重要です。

 で、リスク・マネジメントがあまり実施されていない理由なのですが、リスクが発生しない限りリスク・マネジメントに費やした労力や時間は無駄だと感じてしまう、というのが一番ではないかと思います。まずいことが起こったらその時考えよう、そんなことより目前の作業に没頭しよう、という考え方ですね。

たしかにその方が当面の活動は効率的に進むように見えますが、想定外のこと(本当は想定内なのですが)が起こったときに、取返しのつかない事態を招くことになりかねません。

リスク・マネジメントはどうやって進めるんニャ?

 図表1に示すようなリスク・マネジメントシートをつくることをお勧めします。

 これは、新製品開発プロジェクトを想定してつくったサンプルです。

リスクの内容の欄には、「まだ発生してはいないが、発生するとプロジェクト目標の達成に影響を及ぼすこと」を列挙していきます。

どうやってリストをつくるか悩むニャン?

 たしかにここが難しいところです。これまでのプロジェクトで起こったこと(困ったこと)を思い出したり、業界や競合等の動きなどを想定したりしながら、洗い出していきます。もちろん、PMがひとりで悩むのではなく、プロジェクトメンバーや、場合によっては経営陣の知恵も結集するとよいでしょう。

 リストに抜け漏れがないかどうかを確かめる一助として、「分類」という項を設けています。最初から完璧なものをつくる必要はありません。プロジェクトを繰り返すうちに、会社としての資産ができていくはずです。

次はどうするニャン?

 リスクの発生確率と、リスクが発生した場合の影響度を、5段階で評価します。相対評価で、えいや!と決めてかまいません。そして、発生確率と影響度を掛け合せることで、全体としてのリスクの深刻度を決めます。リスクの深刻度が大きいものから優先的に取り組んでいく(対策を考えていく)ことになります。

 対策には、リスクが発生する前の(リスクを発生しにくくする)対策と、リスクが発生してしまった後の対策とのふたつがあります。厳密にやっていきたい場合には、欄をわけてもよいでしょう。

リスク・マネジメントシートはいつ作るニャン?

 プロジェクト計画の一部として、プロジェクトが本格スタートする前につくりたいです。リスク・マネジメントシートをつくることで、プロジェクト計画(WBS)の抜け漏れが見えてくることもよくあります。

 また作っただけで満足してしまってもいけません。最低でも月に1回は見直しをして、リスクが発生いる、または発生する兆候を見せていることがないか確認したいですね。

リスク・マネジメントって、意外とシンプルだニャン!!

-コラム, 中村 晋