コラム 中村 晋

コラム1-2 5つの利益

2022/11/14

仁は、営業利益と当期純利益の違いも知らなかったニャン

 会社経営者には、「数字(会計)に強い」人と、「数字に弱い」人がいます。仁は、お世辞にも数字に強い経営者とは言えないですね。経営者は必ずしも数字に強い必要はないと思いますが、数字に弱いことで損をしたり、会社が窮地に陥ったりすることは避けたいものです。

それはそうだニャン

私は、中小企業社長の会計力を、5段階に分けて考えています。

  • レベル1:会計に興味がない(決算報告書は確定申告のときにちらりと見て、その後見返すことはない)
  • レベル2:PL(損益計算書)は理解できる(5つの利益の違いがわかる)が、BS(貸借対照表)はちょっと苦手
  • レベル3:BSも理解できる(BSの勘定科目の意味が理解できている、PLとBSの関係がわかっている)
  • レベル4:決算書類を経営に生かせる(たとえば、現預金、棚卸資産、売掛金といったBSの勘定科目の変化から、経営上の問題点を察知することができる)
  • レベル5:管理会計を経営に取り入れている(たとえば、限界利益を把握して、意思決定に役立てている)

会社経営者には、できればレベル4以上、最低でもレベル3にはなっていて欲しい!と私は強く思います。

仁はどのレベルだニャン

さて漫画を読むと、仁はレベル1のようですね(興味はあるかもしれませんが、いかんせん、知識がありません)。今回のブログは、レベル2に上がるための必須知識を解説しましょう。

決算報告書の損益計算書(PL)を見ると、ひとくちで利益と言っても、5種類の利益が出てきます。「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つです。

それぞれの関係を図1に示しました。

ひとくちに利益といっても、5種類もあるニャン。どれが大切だニャン?

 私は、中小企業の経営で重視すべきなのは営業利益と当期純利益だと思います。

 営業利益が重要なのは、それが「本業の儲け」を示すからです。漫画で仁が銀行員に指摘されていたように、補助金は雑収入でありPLでは営業外利益に含まれますから、営業利益を増やす効果はありません。補助金は来年以降も獲得できる保証はありませんから、銀行の融資判断の際には、営業利益が重視されることになります。

 もうひとつ重要なのは、「当期純利益」です。1年間の企業活動で、会社のお金がどれだけ増えたのかを示す数字だからです。借入金の返済は費用として計上されるのではありませんから、この当期純利益から捻出しなくてはいけない、というのも重要な点です。

 荒製作所(仮名)の昨年度の決算は、営業利益の赤字を補助金で補填して当期純利益は何とか黒字にした、という状況だったようです(図2参照)。本業で儲けているかどうかを重視する銀行が、融資額のアップを渋るのは理解できます。

重要なのは、営業利益と当期純利益だニャン

-コラム, 中村 晋