コラム 中村 晋

コラム1-12 仁の選択

2023/02/10

GG(にゃ)

仁は、新製品をおねだりしたニャン

仁は、新製品をおねだりしたニャン

 そうですね。気持ちはよく分かります。荒製作所は、いまライバル企業との新製品開発競争の真っ只中ですからね。

でも、これでよかったのかニャン?

もちろん、正解はだれにも分かりません。

でもひとつ言えることは、新製品を手に入れて一時的に優位に立ったとしても、いずれライバル企業もそれに対抗する製品を開発して、荒製作所の優位性が失われる可能性があるということです。

経営者はいつも、売上や利益を求める(新製品はそれを実現するための、言ってみれば弾のようなものですね)一方、企業としての能力を継続的に高めていくことが必要です。経営には、結果としての「売上・利益向上」と、それを実現するための「企業能力向上」というふたつの目標があるとも言えるでしょう。

仁は、企業能力向上ではなくて、目先の「売上・利益向上」を求めたわけです(繰り返しになりますが、どちらが正解かは一概に言えません)。

さて企業能力といえば、製品開発力、マーケティング・販売能力、生産能力といった、売上に直結する能力に目が向きがちです。それらが重要であることに異論はありませんが、これらの能力に共通の、いわば基盤となる能力のひとつが、プロジェクト・マネジメント能力だと私は思っています。 

プロジェクト・マネジメント

プロジェクト・マネジメントはIT部門にしか関係ないと思ってる人が多いニャン!?

 そうですね。それが実態だと思います。

 そもそも「プロジェクト」とは、「①期限があって、②(繰り返しではない、独自の)成果物を生む活動」のことを言います。この定義によれば、企業内では実に様々なプロジェクトが行われていることがわかるでしょう。

 例えば、採用活動は毎年繰り返し行われますからプロジェクトではなく「定常業務」ですが、採用方法の変更(例えば、通年採用を取り入れる)はプロジェクトです。プロジェクトは繰り返しではない独自の成果物を生む活動ですから、おのずと不確実性がともない、通常業務とは異なるマネジメントが必要となります。それを体系化したのが、プロジェクト・マネジメント手法です。

 しかし、このような認識が明確になされていない企業では、「今年から通年採用に切り替えよう」という方針を決めただけで、あとは例年どおりの態勢で採用活動を進めるといったことが起こりがちです。すると通年採用独特の業務が、通常業務に追加(それも予期しない形で)されることになり、様々なトラブルを生んでしまうでしょう。

あるあるだニャン!!

 日常業務に紛れ込んでいる「プロジェクト」を的確に認識して、そこにプロジェクト・マネジメントのエッセンス(①目的・目標を明確にする、②やるべき作業を漏れなく洗い出す(WBSをつくる)、③どんなリスクがあるか箇条書きにしてみる)を取り入れるだけでも、業務は見違えるようにスムーズに進んでいくものです。

 このシリーズを読んだ皆さんにはできるはずです。ぜひ、お試しください。

プロジェクト・マネジメント手法は日常業務にも生かせるニャン!!

-コラム, 中村 晋