コラム 中村 晋

コラム1-11 コミュニケーション・マネジメントの方法

2023/01/10

コミュニケーションは難しいニャン!

 そうですね。ユーザー説明会では異論が出なかったのですが、多くのユーザーが本音では新DXシステムを受け入れていなかったということのようです。

どうすればよかったニャン?

 そもそも、プロジェクトには思っている以上に多くの人が関わっているものです。利害関係者(ステークホルダー)と呼んだりもします。

 ITシステムの開発プロジェクトだと、作る人(情報システム部門とITベンダー)と使う人(ユーザー)ばかりに目が向きがちですが、プロジェクトによって影響を受ける人はそれだけではありません。多くの場合、以下のような人たちが関係します。

・経営者

・プロジェクトメンバー

・(ユーザー以外の)一般社員

・顧客

・サプライヤー

 プロジェクト計画を立案する際に、まずはこれら利害関係者の一覧表をつくるとよいでしょう。そして、それぞれの利害関係者とどのようなコミュニケーションをとるのか、あらかじめ計画しておくのです。コミュニケーション計画の例を、図表1に示します。

 コミュニケーション計画ではまず、利害関係者ごとの留意事項を整理します。その上で、具体的なコミュニケーション計画を記述していきます。その際に重要なのは、公式のコミュニケーションだけでなく、非公式なコミュニケーションもあらかじめ計画しておくことです。

今回はどこがまずかったニャン?

 そうですね。大きくはふたつあります。

 ひとつめは、ユーザーとの非公式なコミュニケーションをとらなかったことです。公式な大人数で行うユーザー説明会では、たとえ異論があってもなかなか発言はできないものです。そんな状況をあらかじめ予想して、ユーザーのキーマンと非公式な打合せを計画しておくべきでした。

もうひとつは何だニャン?

ふたつめは、問題が起こっていることを社長がこのタイミングで知ったことです。経営者とのコミュニケーション計画に、リスクが発生した際にはすみやかに報告して指示を仰ぐと明記してあれば、このようなことにはならないはずです。

コミュニケーション計画は、リスクマネジメントでもあるんだニャン!!

 そのとおりです!

 プロジェクトマネジメントの色々な手法は、お互いに補完しあう関係になっています。

-コラム, 中村 晋