コラム 中村 晋

コラム1-3 BSを経営に生かす

2022/11/14

仁は、またびっくりしとるニャン

PL(損益計算書)は理解できるのだが、BS(貸借対照表)はちょっと苦手だという経営者の方も多いようです。「貸方」「借方」といった言葉が出てきた途端に拒絶反応が起きてしまうのかもしれませんね。 

でもそのまま放っておくのは、会社にとって危険なことです。というのは最悪の場合、利益が出ているのに資金繰りがつかず倒産する「黒字倒産」もあり得るからです。それは極端なケースとしても、PLには表れない経営上の問題点が、BSで発見できることがあります。

BSって何なんニャン?

 まず、BSが何を表しているのか、最低限の前提知識を確認しておきましょう。BSは、「どうやってお金を集めてきたか」ということと、「それがどう使われているか(今どんな形の資産となっているか)」を対比させて表にまとめたものです(図表1)。

 

なるほどニャン

 BSは2期分並べてみることで、いろいろなことが分かってきます。

 例として、荒製作所の前期と当期のBSの対比表を見てみましょう(図表2)。

 まず、利益剰余金ですが、378万円増加しています。これは、前期の当期純利益が378万円だったことを示しています。しかし銀行員は、融資の増額によい顔をしませんでした。

図表2 荒製作所のBS 2期分比較

どうしてなんニャン?

 それは、売掛金が1億8000万円、棚卸資産が2億2000万円それぞれ増えており、現預金が約4億円も減っているからです。売掛金が増えているのは売上の回収がうまくいっていないことを示しています。また、棚卸資産が増えているのは、(売上が増えたといっても)特注品の比率が増えたために在庫する部品の種類が増えたり、製造リードタイムが延びたりしているのかもしれません。売掛金の増加と合わせて考えると、何か無理な受注をしている可能性もあります。

 BSの数字の変化だけで問題の原因までわかるわけではありませんが、少なくとも経営上の問題が存在することはBSからわかるわけです。そもそもの話として、経営の安全性という意味では現預金を確保することが重要なのですが、現預金が1年で4億円近く減っている現状は大きな問題を抱えている可能性が大きいです。

 このように、BSの数字を2期(以上)対比させることで、経営の問題点をあぶりだすことができる場合があります。ぜひお試しください。

BSは2期分並べるといいニャン!

-コラム, 中村 晋